Journal of Epidemiology vol.15-(1) |
1)Excessive Daytime Sleepiness among the Japanese General Population Yoshitaka Kaneita, et al. (P1~8) 2)Respiratory Symptoms and Hamsters or Other Pets: A Large-sized Population Survey in Saitama Prefecture Kyoko Suzuki,et al. (P9~14) 3)日本の世帯の質問票調査における予防接種率の偏り Bias of Vaccination Coverage in a Household Questionnaire Survey in Japan 橋本修二(藤田保健衛生大学医学部衛生学講座)、川戸美由紀、世古留美、加藤昌弘、岡部信彦 背景:予防接種率を推定するために、世帯の質問票調査は重要であるが、いくつかの問題点がある。 方法:大府市に居住する2・4・6歳児900人に対して第1回調査を実施し、その未回収者に第2回調査を実施した。対象者の半数には記名式の質問票、残りには無記名式のそれを用いた(それぞれ記名群と無記名群)。記名群において、6種類の予防接種(ポリオ、麻しんなど)の接種年月日について、質問票の回答を大府市保健センターの接種記録と確認した。 結果:回収率は第1回調査で70.1%、第1回と第2回調査を合わせて84.1%であった。回収率は記名群と無記名群でほぼ一致した。記名群の接種記録によると、対象者全体の予防接種率に比べて、回収者のそれは0.9~2.9%高く、第1回調査の回収者のそれは0.8~4.9%高かった。記名群の回収者において、質問票の回答と接種記録の間で、予防接種状況の不一致はほとんどなかった。 結論:日本では世帯の質問票調査による予防接種率は未回収や誤回答によって大きく偏らないと示唆された。 キーワード:予防接種率、世帯調査、ポリオ、麻しん、偏り (P15~19) 4)1995年から2001年までのわが国における筋萎縮性側索硬化症の記述疫学特性 Descriptive Epidemiology of Amyotrophic Lateral Sclerosis in Japan, 1995-2001 岡本和士(愛知県立看護大学公衆衛生学)小橋 元、鷲尾昌一、佐々木 敏、横山徹爾、三宅義博、阪本尚正、田中平三、稲葉 裕 背景:この研究は年次別死亡率(1995―2001年)を検討することによって筋萎縮性側索硬化症(ALS)の記述疫学特性をしめし、そして死亡率の最近の変化に影響を与えた可能性のある背景要因を検討するために行われた。 方法:筋萎縮性側索硬化症の年齢調整死亡率と年齢別死亡率の変化は、1995年から2001年までの日本の人口動態統計から得られた情報に基づいて検討された。 結果:1995年から2001年までに、ALSの死亡数(1249名から1400名)とそ死亡率(1.00から1.10名)はともにわずかな増加を示した。ALSの年齢調整死亡率(1985年人口を基準人口として調整した)は1995年から2001年までに低下(0.84から0,74)していた。年齢別死亡率は70歳から80歳の間でピークをもって、特に70歳以上で増加していた。 結論:ALS死亡率はこの調査期間内に高齢者において増加していた。高齢者におけるALS死亡率の増加に寄与した背景要因を明らかにするためにさらなる検討が必要とされた。 キーワード:筋萎縮性側索硬化症、疫学、死亡率、日本、推移 (P20~23) 5)本邦における原発性胆汁性肝硬変の断面研究:特定疾患医療受給者証交付申請時の臨床調査個人票データの活用 A cross-sectional study of Primary Biliary Cirrhosis in Japan: utilization of clinical data when patients applied to receive public financial aid 坂内文男(札幌医科大学医学部公衆衛生学講座)、森満、銭谷幹男、戸田剛太郎 背景:今日に至るまで、アジア諸国からの原発性胆汁性肝硬変(PBC)に関する報告は少ない。そこで今回我々は本邦におけるPBCの断面研究を行った。 対象と方法:1999年度に特定疾患医療受給者証の交付を受けた症候性PBC患者数は9,761人であった。この症例の内、臨床データが1999年から2000年までに記載された5,805例を対象として、性別、年齢、身体所見、生化学データについて集計解析を行った。 結果:男女比は1:8.0、年齢中央値は男性59歳、女性60歳であった。また、皮膚掻痒53.3%、黄疸11.3%、黄色腫5.8%、脾腫38.1%、食道静脈瘤が19.1%にみられた。抗ミトコンドリア抗体(AMA) は86.6%に陽性であったが、欧米諸国よりは低率であった。血清IgM 値はAMA陰性例よりAMA陽性例の方が高かった。シェーグレン症候群、慢性関節リウマチ、慢性甲状腺炎、強皮症の合併頻度は欧米諸国よりも低率であった。 結論:男女比、年齢階級分布、身体所見に関しては以前の我が国および欧米諸国の報告と同様の成績であった。しかし、 AMA 陽性率と自己免疫疾患の合併率は欧米諸国よりも低かった。 キーワード:原発性胆汁性肝硬変(PBC)、抗ミトコンドリア抗体(AMA)、断面研究、特定疾患医療受給者証 (P24~28) |