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第27回 日本疫学会学術総会

学会長挨拶

第27回日本疫学会学術総会開催にあたって

山縣然太朗
ライフコース・ヘルスケアを支える疫学

第27回日本疫学会学術総会会長
山梨大学大学院総合研究部医学域社会医学講座
教授 山縣 然太朗


第27回日本疫学会学術総会を2017年1月25日から27日に山梨県で開催させていただくことになりました。学会長として一言ご挨拶申し上げます。


本学術総会のテーマは「ライフコース・ヘルスケアを支える疫学」としました。「ゆりかごから墓場まで」は第二次大戦後の英国の社会保障政策のスローガンです。生涯を通じた福祉政策を象徴した言葉ですが、健康政策も同様に生涯を通じた健康を支援することが必要です。本学会ではライフコース・ヘルスケアの視点から、胎児期からはじまる疾病予防に、疫学がどのように貢献できるかを考えてみたいとの思いからのテーマです。特に、コホート研究の基礎から社会実装までをじっくりと議論したいと思います。

そこで、特別講演として、コホート研究の基盤となる健康情報の利活用について、お二人の先生に特別講演をお願いしました。国立社会保障・人口問題研究所所長の森田朗先生には「医療番号制度と医療ICTがもたらす可能性」と題して、マイナンバー法の時代、疫学研究にどのような可能性が出てくるのかをお話しいただき、デンマークの出生コホート研究の中心的役割を担っておられるMads Melbye先生(Professor, MD, DMSc; Executive Vice President, Statens Serum Institut, Denmark)には、デンマークの国民ID制度と疾病登録制度を用いた「デンマーク出生コホート研究の概観」をお話しいただく予定です。


疫学研究は人を対象とした医学研究です。研究にご協力いただいて健康情報などをご提供いただく市民の皆様と共に実施する研究です。市民の皆様に疫学研究をご理解いただき、ご協力、ご支援いただくために、信頼される研究を実施する必要があります。大規模多施設共同研究のあり方、研究における倫理的、法的、社会的諸課題、結果の返却や成果還元の際のサイエンス・コミュニケーションなどの「研究ガバナンス」についても議論したいと思います。


山梨の地で開催される初めての学術総会です。会場は利便性を考えて、甲府駅から歩いて3分の場所にいたしました。是非、多数の会員の皆様のご参加と活発なご議論をお願いいたします。

山縣のサイン

Mt.Fuji

Photo by ©FUJIYAMA DAYS.